■なりたけのギタギタ

BACK

 私はこれを、食べなければならなかった。
 普通は「食べたかった」になる所だが、今回は違う。食べねばならぬ!のである。

 この話は私が日本拉麺交友会千葉支店の掲示板に「今度は、ギタギタに挑戦してみようと思います」などと書き込んだ事から始まった。私はラーメン通でも何でもなく、ただの食い意地が張ったおじさんである。テレビなどで背脂チャッチャ系のラーメンが紹介される度に、いつかチャッチャを食べてみたいと思っていた。他のホームページでも「なりたけは体調のいい時に……」とか「ギタギタはちょっと……」とか書いてあると、ますます私は「背脂チャッチャがどうしても食べたい!」という気持ちになってしまうのであった。

 そして初めてなりたけに行った時、私は取り敢えず普通のラーメンを注文した。食べ終わってみると、確かに背脂が大量にのっていて油っこいラーメンだと思うが、この倍の油でも私は美味しく食べる事が出来ると感じたのだ。
 私は油っこいものが大好きで、豚足なんか3本くらい食べる。いや、もっと食べたい。そこから考えると、やはり次回はギタギタでも大丈夫なのではないかと。回りの皆さんが敬遠しているなりたけギタギタを、是非私が完食したいと。そう軽く考えたのだった。
 山路さんに「なりたけのギタギタはまだ?」と催促される度に「まーまー、待っていなさいね」と、自信満々の私が居たのである。私は「油大王」なのだ!(何だそれ)

 2000.7.13。ちょうどカウンターが1席空いていた。私がそこに座り「ラーメンギタギタ」と言った瞬間に、注文担当のお兄さんと、もう1人のお兄さんがこっちをむいてちょっと笑った。と同時に、お客約3名が私の顔を見た。多分他のお客は「けっ、ど素人が!」「まだまだ甘いな、おっさん」などと思ったに違いない。(しかしそんなに凄いのかよぉ〜)
 私はいきなり心細くなってきた。何だかもの凄く大変な事をやらかしているような気になってきた。もしかすると警察沙汰にでもなるんじゃないか……完食しないとどこかに連れていかれちゃうんじゃないか……そんな有りもしないような事を考えると、不安でしょうがなくなった。
 「もしもちょっとしか食べられなかったらどうしよう……」

 お兄さんが作っている所を見ていたら、普通ラーメンの背脂チャッチャ回数は3〜4回であった。さて、私のラーメンの番である。さて、ギタギタのチャッチャは何回なのか!
 チャッ、チャッ、チャッ、(うんうん、これが平均回数だと)
 チャッ、チャッ、チャッ、(ま、このくらいは入れるかな)
 チャッ、チャッ、チャッ、(もうそろそろでしょ)
 チャッ、チャッ、チャッ、(いや、もういいって)
 チャッ、チャッ、チャッ、(だから、いいからって)
 チャッ、チャッ、チャッ、(もういいってば!)
 チャッ、チャッ、チャッ、(おい、もういいかげんに……)チャッ (゜ο°;) 何と22回!

 まず始めにスープを……すすれない。スープの汁気がほとんど無いのである。しょうがないからラーメンに油をまぶしながら食べる事にする。いつもながら塩気が強い。でも私のような職業の人間には、このくらいの塩分補給がちょうど良いかも知れない。
 半分ほど食べた時点で「何だ、これは完食だな」と判断した。やっぱり私は「油大王」だった!勝利の女神は私に微笑んだのである。さて、誰に何と報告しようか。「辛かったでしょ」と言われたら「いや、まあまあかな」とでも言おうか。いやいや、なんかスカしているようだから、もう少し謙虚にしておいた方がいいかな……。いろいろな事を考えていた。勝利目前!

 しかし勝負というものは最後まで解らないものである(何の勝負だ?)。麺と具を完食し、スープがあと1.5cm残った所で、いきなり辛くなった。残っているのは、正確に言うと油だけである。口元まで持っていくのだが、その口が開かない。もう1口も入れる事が出来なかった。完敗……。

 豚足を3本食べてもまだ足りない私が……ケンタッキーフライドチキンを10ピース食べる私が……ナス料理をする時にいつも倍の分量の油を使う私が……天ぷらにマヨネーズを付けて食べてしまう私が……スパゲティカルボナーラを3人前食べる私が……完全に負けました。

 もうこれでギタギタは引退します。絶対に復活させないで下さい。
 いや、もう、ホントに、お願いだからね、ね。「油大王失格」(T_T)